幕末の妖狐一族 ①
「そんなもののために、村に火を放ち罪のない同族まで殺したというのか。」

「どうとでも好きなように言うがいい。
お前らがなんと言おうが従う羽目になるのだからな。」

「どういうーーーー」
男が懐から出した札に向かって何かを唱えるとそれは吸い付けられるように母上の方へ向かっていった。
札には文字が書き込まれており、母の首に札は巻き付き吸い込まれるように消えていった。

母上の首には無数の文字が首全体にまるで永遠にとれない首輪のように現れた。
「母上!!」

「これはな、お前たちを捕獲するためにある方からいただいた代物でな。
 おまえたちの妖力を吸い取るものだ。」

苦しむ母に近づこうと縄で縛られたまま走っていったが、見えない何かにはじかれてしまった。


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