恋も試合も全力で!【番外編】
そんな状態でも、あたしは忘れなかった。
主審サインの欄。
《笠原(高江)》
笠原、くん。
笠原くんっていうんだ…
緊張と喜びで、名前を書く手は震えていたと思う。
なんとも汚い字。
スコアを渡しながら見上げると、あたしに笑いかけるその人。
「お疲れ様。勝って良かったね」
その笑顔に、あたしの心は撃ち抜かれた。
ヤバい…
好きかもしれない…
いや、絶対に好きなんだ。
そのまま、敗者にスコアを渡して、上がっていく笠原くん。
あたしもドキドキする胸を押さえながら、
自分の学校のところへと戻った。