恋も試合も全力で!【番外編】


「足、大丈夫?」


ぶっきらぼうなその声に顔を上げると、

無表情の男の子が目の前にいた。


「足、捻ったまま試合してただろ。腫れてねー?」


そう言いながら、しゃがみこんであたしの足首にそっと触れる。

あたしは、そっとその男の子を眺めていた。


どっちかと言えば、冷たい表情なのに、

あたしの足に触れる手は、すごく優しい。

そんな彼に、あたしは少しずつドキドキし始めていた。


「痛くない?」

「…へ?」

「だから、痛くねぇのって」

「あー………分かんない」

「…は?」


痛さなんて、よく分かんないや。

だって、あたしの神経は彼に集中してるから。


あたしの言葉に、顔を歪める彼。

そして、あたしの隣に腰かけた。




< 129 / 162 >

この作品をシェア

pagetop