恋も試合も全力で!【番外編】
*プロポーズ【浅海】
【浅海】
あたしの人生を変えたのは、彼のたった一言でした――。
「じゃあ、行ってくる」
「うん。頑張ってね」
毎日仕事へと出かける裄を送り出すのが、あたしの仕事。
朝早くから家を出る裄。
そして、帰りは夜遅い。
あまり一緒にいられないけど、それでもあたしは寂しくなんかなかった。
こうやって裄を送り出せることが、すごく幸せなんだもん。
裄がそばにいるだけで、それだけで良かった。
「あっ、浅海。今日何の日か覚えてるよな?」
「うん、覚えてるよ」
忘れるわけがない。
だって今日は、裄と付き合って9年の日なんだもん。
あたしも裄も、今年で26歳になる。
裄と暮らして3年。
あたしたちは一緒にいることに、何も疑問を抱かなかった。
今まで以上に、裄が必要だと思った。