恋も試合も全力で!【番外編】
「嘘で言わないっつーの。
あーもうっ。頼むから泣き止んで?」
そう言って、赤い顔であたしの涙を拭う槇。
その手はぎこちないけれど、優しかった。
「か、彼女にしてくれたら泣き止むっ」
照れ隠しをするように、あたしは言った。
だけど、泣くのをやめることなんてできないよ。
2年越しの想いなんだもん。
あたしをそっと引き寄せて、頭を撫でる槇。
槇の香りに包まれて、あたしは幸せだった。
―――――――
――――
あたしは槇の横顔を眺めた。
それに気付いた槇が、あたしの顔を見た。
「…何?」
「んーん、別に?」
そう言うと、不思議そうな顔をしながら、
眺めていたテキストに視線を戻す。