恋も試合も全力で!【番外編】
だけど綾子は、一向にシャーペンを握る手を止めない。
綾子が真面目だってことは分かってるよ?
分かってるけどさ…
もっと俺にもかまってよ。
「…なぁー」
「………」
無視なんだけど…
「綾子ー」
「………」
おいおい、本気で?
「綾子ってば」
「…もー、何!?」
少し怒って俺を見る綾子。
別に怒んなくても良くねぇ?
「…何の勉強してんの?」
「栄養学Ⅰ」
少しうざったそうに、言葉を投げ捨てる綾子。
いやいや、俺一応彼氏よ?
もう少し優しく言ってくれてもいいんじゃね?
「ていうか槇も早く勉強しなよ」
今日初めて綾子に名前を呼ばれた気がする。
それぐらい綾子は、俺を放置。
そんな俺が、大人しく勉強をするはずがない。