恋も試合も全力で!【番外編】
「この辺にしといてやるよ」
そう言って、俺は自分の座っていた場所に戻ろうとした。
が、何かに阻止されて、動くことができない。
俺は視線を下に向けた。
綾子の手が、俺の服の裾を掴んでいた。
「綾子?」
下を向く綾子。
その顔は、赤く染まっていた。
「綾子、俺動けないんだけど」
そう言っても、綾子は手を離さない。
それどころか、更に力が入る。
「綾子ー?」
顔を覗き込もうとすると、思い切り手で押さえつけられた。
「ふがっ!」
「み、見ないで!!///」
赤い顔を見られたくないのか、俺の顔をズンズンと押し返す。
「あ、あやこ…く、ぐるじい…」
「うわっ、ごめっ…」
急いで顔をあげて、手を退ける綾子。
ハッとなってまた下を向いたけれど、俺は見逃さなかった。