片恋専門〜最強モテ子と落ちない彼 番外編〜
片恋専門
夏休みを目前に控えた土曜日の昼下がり。
ジリジリと肌を焦がすように太陽が照りつけるというのを言い訳に、俺達はクーラーの効いた部屋でひたすらグダグダと過ごしていた。

俺はベッドにうつ伏せになって漫画を読む。
高村はベッドを背もたれに床に座って、
さっきからテレビ画面に見入っていた。


内容は将棋の名人戦だ。
俺のじいちゃんもよく観ているやつ。
こいつの趣味は全然理解できないけど、本人は楽しそうだからまぁ、いいか。


今朝ーといっても、10時過ぎだったけどー 俺は高村からの電話で起こされた。

俺と高村は中学からの付き合いで、それなりに仲が良いと俺は思ってるけど高村の方から俺を誘ってくることはあんまりない。
大抵、俺が声をかけてる。


今日は珍しいことに高村の方からヒマだからうちに来ると言ってきて、今に至る。

中学が同じなので必然的に家も近い。
徒歩10分くらいの距離だ。

自分から誘っといて何を話すでもなく将棋に夢中になってるんだから、こいつは本当によくわからない。

「せっかくの土曜日なのに、まりあと会わなくていいの? 俺、後で文句言われたりしない?」

俺は漫画から目を離すことなく、声だけ発した。
高村は高村でテレビを見つめたまま、返事する。

「天野は今日は友達と買い物行くって言ってたよ」
















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