ヒロインになれない!
わけがわからないまま彼女を宥め、お部屋に入る。
女の子らしいピンクとふりふりの小さなお部屋には、和也先輩とのツーショット写真なんかも飾られていて、私には居心地がよくなかった。
ひとまず、彼女をベッドに腰掛けさせて、私もすぐ前に座る。
「お茶とかいりませんけど、お体とお気持ちが落ち着かはるなら飲みますか?私、入れましょうか?」
彼女は、黙って首を横に振った。
ずっと涙が途切れずに頬をつたい続けていた。
「じゃ、まず、お名前うかがってよろしいですか?」
「……裕美(ゆみ)です。遠澤裕美です。」
あら、同じ名前。
「じゃ、ややこしいので、遠澤さん。和也先輩と同じ大学のチア部でいらっしゃるんですよね?」
遠澤さんは、こっくりうなずいた。
……この人のほうが年上なんだけどね……なんだ、この頼りなさは。
「私のこと、どう聞いてらっしゃるかわかりませんが、そーゆー関係じゃないし、そもそも和也先輩は高校三年間私の親友が好きだったし、私に対して何の遠慮もいらないですよ?まして、謝られたら困ってしまいます。お腹のお子さんのためにも、心を強く持ってください。」
おかしい。
誤解を解きに来たんだけど、力関係が想像してたのと逆だ。
てっきり、問い詰められるのに対して身の潔白を証明するんだと思って来たのに。
遠澤さんは、静かに涙を流しながら口を開いた。
「ごめんなさい。私、何も知りませんでした。ただ、和也が好きで……和也が私のことを遊びとしか思ってないことはわかってたのに、それでもかまってもらえることがうれしくて。」
……うん、好きじゃしょうがないよね。
うんうん、と頷く私にホッとしたらしく、次第に遠澤さんが落ち着いてきた気がする。
「妊娠がわかった時も、独りで産んで育てるつもりでした。でも和也は責任を取ると言ってくれて……」
遠澤さんの目からまた新たな涙が溢れ出す。
「ごめんなさい……和也の足を引っ張りたくなかったのに、私、和也の優しさに甘えてしまいました。」
私は、うんうん、と何度も頷いた。
和也先輩、かっこええやん!……今さらやけど(苦笑)。
まあ、私の立場では、苦々しい限りなんやけどさ、遠澤さんが可愛くていじらしくて、和也先輩大好きってのがよく伝わってくるから。
遠澤さんの気持ち、よくわかるから。
私は、なるべく笑顔を見せて続きを促した。
「和也はうちの両親に殴られても、自分の責任だから結婚させてほしい、と、何度も土下座してくれて……ごめんなさい、本当に幸せでした。」
何となくわかってきた。
女の子らしいピンクとふりふりの小さなお部屋には、和也先輩とのツーショット写真なんかも飾られていて、私には居心地がよくなかった。
ひとまず、彼女をベッドに腰掛けさせて、私もすぐ前に座る。
「お茶とかいりませんけど、お体とお気持ちが落ち着かはるなら飲みますか?私、入れましょうか?」
彼女は、黙って首を横に振った。
ずっと涙が途切れずに頬をつたい続けていた。
「じゃ、まず、お名前うかがってよろしいですか?」
「……裕美(ゆみ)です。遠澤裕美です。」
あら、同じ名前。
「じゃ、ややこしいので、遠澤さん。和也先輩と同じ大学のチア部でいらっしゃるんですよね?」
遠澤さんは、こっくりうなずいた。
……この人のほうが年上なんだけどね……なんだ、この頼りなさは。
「私のこと、どう聞いてらっしゃるかわかりませんが、そーゆー関係じゃないし、そもそも和也先輩は高校三年間私の親友が好きだったし、私に対して何の遠慮もいらないですよ?まして、謝られたら困ってしまいます。お腹のお子さんのためにも、心を強く持ってください。」
おかしい。
誤解を解きに来たんだけど、力関係が想像してたのと逆だ。
てっきり、問い詰められるのに対して身の潔白を証明するんだと思って来たのに。
遠澤さんは、静かに涙を流しながら口を開いた。
「ごめんなさい。私、何も知りませんでした。ただ、和也が好きで……和也が私のことを遊びとしか思ってないことはわかってたのに、それでもかまってもらえることがうれしくて。」
……うん、好きじゃしょうがないよね。
うんうん、と頷く私にホッとしたらしく、次第に遠澤さんが落ち着いてきた気がする。
「妊娠がわかった時も、独りで産んで育てるつもりでした。でも和也は責任を取ると言ってくれて……」
遠澤さんの目からまた新たな涙が溢れ出す。
「ごめんなさい……和也の足を引っ張りたくなかったのに、私、和也の優しさに甘えてしまいました。」
私は、うんうん、と何度も頷いた。
和也先輩、かっこええやん!……今さらやけど(苦笑)。
まあ、私の立場では、苦々しい限りなんやけどさ、遠澤さんが可愛くていじらしくて、和也先輩大好きってのがよく伝わってくるから。
遠澤さんの気持ち、よくわかるから。
私は、なるべく笑顔を見せて続きを促した。
「和也はうちの両親に殴られても、自分の責任だから結婚させてほしい、と、何度も土下座してくれて……ごめんなさい、本当に幸せでした。」
何となくわかってきた。