ヒロインになれない!
同じ美人でも生命力に溢れたあおいちゃんとはまた違う。
まさしく妖精のようだった。
私だけじゃなく、セルジュも彼女に見とれていた!!!
ええっ!?
あの、セルジュが、我を忘れて女性を見てる!?
セルジュを知ってもうすぐ4年だけど、その間、女性に興味を示してるのを見たことがない。
なまじ綺麗な顔をしてるだけに、男に走らないかと、兄と心配してたぐらいなのに。
ドキドキ見てると、セルジュがこっちに来るようだ。
ちっ!終わりかい!
話しかけるとかしたらいいのに!
仕方なく私は隣の通路に滑り込み適当な本を数冊抱えて、一旦そこから離れると、何事もなかったかのようにセルジュに話しかけた。
その後。
さきほどの妖精のような彼女が貸し出しカウンターに向かうのを見つけて、私もカウンターへと向かった。
どうやら、この図書館になさそうな本を探しているらしい。
フランス語の詩集ならセルジュが持ってるかも……と、セルジュに聞いてみると、家にあるそうだ!
余計なお世話かも、と思いつつ、私は彼女に声をかけた。
……セルジュと彼女-小堀(こぼり)静稀(しずき)さんは、トントン拍子で付き合うことになった。
他人(ひと)の恋愛は、こんなに簡単にいくのにな。
1年半以上たつのに全く進展しない自分の恋を想い、私はため息をついた。
それでも、幸せそうな2人の未来にエールを送りながら……。
高校総体(インターハイ)の県予選が始まる直前、私はセルジュの恋人となった静稀さんの舞台を見に行った。
……静稀さんは、女性ばかりの歌劇団に今年入団した、男役の女優さんだった。
セルジュと兄にはじめて連れてってもらった、歌劇団の大劇場は、想像以上に広くて華やかで、お城のようだった。
まるで、夢の世界だ。
静稀さんが、何だか普段からキラキラしているのはこういう世界の住人だから、なんだろうか。
歌劇団の団員さんは団員ではなく「生徒」と呼び、「ジェンヌ」「フェアリー」と表現されると聞いて、ものすごく納得してしまった。
「そうよね、静稀さん、リアルフェアリーやと思うもん。ふわふわしてて邪(よこしま)なところが全然ないねんもん。」
しみじみとそう言うと、兄は肩をすくめた。
「……まあ、ジェンヌがみんな静稀ちゃんみたいに無垢じゃないけどな。」
顔の広い兄が、歌劇団の生徒とも付き合いがあることは知っているので、私はじろりと兄を睨んだ。
まさしく妖精のようだった。
私だけじゃなく、セルジュも彼女に見とれていた!!!
ええっ!?
あの、セルジュが、我を忘れて女性を見てる!?
セルジュを知ってもうすぐ4年だけど、その間、女性に興味を示してるのを見たことがない。
なまじ綺麗な顔をしてるだけに、男に走らないかと、兄と心配してたぐらいなのに。
ドキドキ見てると、セルジュがこっちに来るようだ。
ちっ!終わりかい!
話しかけるとかしたらいいのに!
仕方なく私は隣の通路に滑り込み適当な本を数冊抱えて、一旦そこから離れると、何事もなかったかのようにセルジュに話しかけた。
その後。
さきほどの妖精のような彼女が貸し出しカウンターに向かうのを見つけて、私もカウンターへと向かった。
どうやら、この図書館になさそうな本を探しているらしい。
フランス語の詩集ならセルジュが持ってるかも……と、セルジュに聞いてみると、家にあるそうだ!
余計なお世話かも、と思いつつ、私は彼女に声をかけた。
……セルジュと彼女-小堀(こぼり)静稀(しずき)さんは、トントン拍子で付き合うことになった。
他人(ひと)の恋愛は、こんなに簡単にいくのにな。
1年半以上たつのに全く進展しない自分の恋を想い、私はため息をついた。
それでも、幸せそうな2人の未来にエールを送りながら……。
高校総体(インターハイ)の県予選が始まる直前、私はセルジュの恋人となった静稀さんの舞台を見に行った。
……静稀さんは、女性ばかりの歌劇団に今年入団した、男役の女優さんだった。
セルジュと兄にはじめて連れてってもらった、歌劇団の大劇場は、想像以上に広くて華やかで、お城のようだった。
まるで、夢の世界だ。
静稀さんが、何だか普段からキラキラしているのはこういう世界の住人だから、なんだろうか。
歌劇団の団員さんは団員ではなく「生徒」と呼び、「ジェンヌ」「フェアリー」と表現されると聞いて、ものすごく納得してしまった。
「そうよね、静稀さん、リアルフェアリーやと思うもん。ふわふわしてて邪(よこしま)なところが全然ないねんもん。」
しみじみとそう言うと、兄は肩をすくめた。
「……まあ、ジェンヌがみんな静稀ちゃんみたいに無垢じゃないけどな。」
顔の広い兄が、歌劇団の生徒とも付き合いがあることは知っているので、私はじろりと兄を睨んだ。