何もない関係
~携帯のアラーム~
ナツが朝、喫茶店でアルバイトしているため、朝7時にアラームが鳴る。
今日も鳴った。
さすがにバイトを遅刻や欠席する訳にはいかないので、眠たいながらも仕度をするナツ。
「いってきます」
と、小声でユウの寝顔に挨拶。
「いってらっしゃい」
と、ユウが返事をする。
ナツは驚いた。
いつもなら寝ているか、起きているけど寝たふりをしているからだ。
「起きてたの珍しいね」
「鍵…」
「鍵?」
「合鍵持ってて」
ユウはナツのために合鍵を作ったのだ。
一種の愛の証だろう。
「別れたのに持ってるのは変だよ」
「ナツに持っててほしい」
「ううん、いらない」
合鍵を渡そうをするユウの手をナツが突き返す。
「それじゃ、バイトいってくるね」
と、玄関のドアを閉めた。
バイトにいくまで違和感のある唇を触るナツだった。