先生と私


「わたしは……先生のことが好きで……」


彼女の声は泣いていた。


それでもわたしはなにも言えなかった。


わたしは本当に最低な人間だ。


好きな女の子を泣かせてしまうなんて。


「ごめんなさい」


彼女はそう言うと教科室を出て行ってしまった。



「…………」


がらんとした教科室。


あの子と過ごした大切な場所。


冷めたコーヒーを飲み干し、わたしは決意を固めた。



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