先生と私
4.
激しい波の音。
灰色の海と、冷たい風。
どうして…わたしはこんな所にいるんだろう…
分からないまま、ただ闇雲に歩く。
「……あ」
やっと人影が見えてきた。
近付くにつれて、はっきりと容姿が見えてくる。
そう、あの人の。
足取りが早くなっていき、しまいには駆け足になる。
むこうも足音でこちらに気付いたようで、こちらを向き、優しく微笑んでくれた。
「せんせ…」
そして次の瞬間、その人は暗闇に消えてしまった。
ザパーンと、また大きい波の音がした。