先生と私
「先生!!」
わたしは全力で走り、先生の前に立ちはだかって言った。
「先生が死ぬなら、わたしも死にます」
「…な」
「わたしが死んでもいいなら、どうぞ勝手に飛び込んでください」
「……」
先生は膝からがくりと崩れ落ち、泣きながら言った。
「どうして……、僕のことなんかにそんなにかまうんだ……。僕なんてそんな価値ないのに。最低な人間なのに」
「…先生は最低なんかじゃないです」
そんな彼をぎゅっと抱きしめて、わたしは言った。
「先生がどんなにじぶんのこと価値ないなんて思ってても…、
わたしからすれば、先生はかけがえのない存在で、すごく大切な人なんです。
それに先生は何も悪いことしてませんよ。
あのいじめだって、たぶん先生以外の人でも止められなかっただろうし……
あの後わたしがクラスで孤立してたのも、先生のせいじゃないです。
先生は何も悪くないんですよ」
わたしはそう言い、泣きじゃくる彼の頭を撫で続けた。
いつの間にか灰色の空の中に青が見え、暖かい光が2人を包んでいた。