こじらせ女子の恋愛事情
自分の立場はそこだったのだ。

私は松坂くんの彼女じゃないし、彼よりも3つ年上だ。

「――バカバカしい…」

周りに気づかれないように、小さな声で呟いた。

そうよね、そう言うことよね。

松坂くんは私のことを好きだとか何とか言ってたけど、好きな人は他にいたんじゃない。

私に好きだと言ってる裏側で、横井さんとヨリを戻すことに必死だったんじゃない。

本当は横井さんとヨリを戻したかったんじゃない。

横井さんとまたつきあいたかったんじゃない。

「あっ、噂の松坂くんよ!」

吉田さんの声に視線を向けると、オフィスに松坂くんが入ってきた。

彼が入ってきたとたん、周りに人が集まってきた。

みんな、噂のことを聞きたいのだろう。

私は松坂くんから目をそらすと、仕事に集中することにした。
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