こじらせ女子の恋愛事情
私の質問に、
「松坂和久くん、か?」

おじさんが驚いたと言うように聞き返した。

「職場の後輩の子なんだけど、昔おじさんにお世話になったみたいなんだけど…」

そう言った私に、
「もしかして、森田和久(モリタカズヒサ)くんのことか?」

おじさんが聞いてきた。

「いや、松坂なんだけど」

そもそも森田って、誰なのよ。

そう思いながら言い返した私に、
「今彼が名乗っている松坂は、お母さんの名字なんだ。

彼の元の名前は森田和久だった」

おじさんが言った。

「えっ…?」

その“森田和久”と言う名前を、私は思い出した。

「確か、やすえが中学1年生…いや、中学2年生だったかな。

その年の夏に、離婚相談しにある母子が事務所を訪ねてきたんだ」

そう話を始めたおじに、私の頭の中で遠い昔の出来事がよみがえった。
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