こじらせ女子の恋愛事情
これから母親と一緒に重大な話をするのだろうと思った私は、
「はい、わかりました」

おじの言う通り、彼女の息子と一緒に応接室を出たのだった。

廊下にあるソファーに彼を座らせると、
「アイス、好きかな?」

私は彼と同じ目線になると、質問をした。

彼は答えなかった。

「名前は何て言うの?」

質問を変えたけれど、彼は答えなかった。

困ったな…。

この子のことを何て呼べばいいんだろう?

「私は浜崎やすえって言うの。

今は夏休みで、おじさん――さっき、お母さんと話していた人ね――の事務所を手伝っているの」

自分の名前を名乗ったけれど、彼の口が開くことは一向になかった。
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