こじらせ女子の恋愛事情
それから３ヶ月後。

おじさんの指示に従って集めた証拠――彼のお母さんが普段からつけていた日記と彼のお父さんの罵詈雑言が入った音声記録――によって、松坂くんのお父さんとお母さんは離婚をした。

松坂くんはお父さんの名字だった“森田”から、お母さんの名字の“松坂”を名乗ることになった。

「本当にありがとうございました」

松坂くんのお母さんは頭を下げた。

その日、私はおじさんと一緒に松坂くん母子の見送りのために空港にきていた。

松坂くんは離婚を期に、お母さんの実家である秋田県で一緒に暮らすことになったのだそうだ。

「お力になれてよかったです」

おじさんは照れくさそうに笑いながら言った。

そんなおじさんの様子を見ていたら、
「これ…」

松坂くんが何かを私に差し出してきた。

あの時貸してあげたハンカチだった。
< 159 / 183 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop