こじらせ女子の恋愛事情
「どうもありがとう」

私は松坂くんの手からハンカチを受け取った。

ハンカチはまるで新品なのかと思ってしまうくらいに、とてもキレイだった。

「お姉さん」

松坂くんが呼んだので視線を向けると、
「ありがとう」

微笑みながらお礼を言った。

彼の笑顔を見たのは、これが初めてだった。

「また遊びにきてね。

秋田へ行くことがあったらよろしくね」

そう言った私に、
「うん、約束だよ!」

松坂くんは小指を差し出した。

私は彼の小指に自分の小指を絡めると、
「指切りげんまん」
と、約束を交わしたのだった。

 * * *
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