こじらせ女子の恋愛事情
私の目の前にいるのは、恋を知ったばかりの少年だ。

「両親が離婚した後、母親の実家である秋田に行ったんですけど…そこでも浜崎さんのことを思い出していました。

あなたに一生会えないかも知れないとわかっていても、浜崎さんは俺の初恋でした。

就職を期に戻ってきて入社した時、あなたがこの会社に勤めていたことを知って驚きました。

その時、思ったんです。

神様が俺と浜崎さんを引きあわせてくれたんだって」

「引きあわせたなんて、そんな…」

まるで小説みたいな表現に、私は戸惑った。

「本当にそう思ったんです」

「だけど、私はあなたのことを忘れてて…」

「今思い出してくれたじゃないですか」

「そうだけど…」

あれ、目的は何だったっけか?

忘れていたことと今までの態度を謝るはずだったのに、タイミングを見失ってしまった。
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