こじらせ女子の恋愛事情
「じゃあ、その見本誌にサインをくださいよ。

世界でたった1つだけの俺宛ての見本誌として」

笑いながらそう言った松坂くんに、
「いや、サインは書いたことがないからちょっと…」

私は困ってしまった。

「おじさんにも見本誌をあげたんでしょ?」

「サインはしていないけれど…」

そう、先日の休みに私は届いたばかりの見本誌と明太子を持っておじさんの家へ遊びに行った。

おじさんも秘密を話した私を受け入れてくれた。

「これ、俺の家宝にするからな」

おじさんは見本誌を片手に、嬉しそうに笑ったのだった。

「へえ、俺が初めてなんだ」

そう言った松坂くんに、
「初めてだから、大したサインは書けないわよ」

私は言い返した。
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