【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
タクは私を包み込むように、優しく優しく動く。たまにストロークを速めて攻め立て、私はタクとの繋がりが離れぬよう、無意識に彼を縛り付ける。


もう意識が飛びそうで虚ろな私の耳を、タクは両手で被って、微かに唇を動かして何かを言っていた。


頭は真っ白な閃光がバチバチと飛び交い、何度タクの唇の動きを確認しても何を言っているか分からない。


淋しい、一人にしないでと求めるように手を仰ぐと、タクは私の耳を塞いでいた手を離し、自分の首に私の手を導いた。


密着する肌の体温が、柔らかさが、しっとりとかいた汗の感触が、香りが、飛びそうな意識の中でもちゃんと分かる。


幸せだよ、タク。どんな形であれ、タクに包まれ、タクの優しさを、温度を感じれて、タクがどんな想いで私を抱いていても、私はちゃんと幸せ。


一方的でも何でも、タクを想う気持ちはもう溢れ出してタクに降り注いだ。気付かれた。もう消せない。


しがらみも、消せない事実もタクの愛の矛先も、今は全部忘れさせてよ。
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