【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「それにしても、店員噂通り皆イケメンだな。妬いちゃうよ。美姫毎週会ってるんだもんな」


「はは……大丈夫だよ。そういう風には見てないから私」


それでも、口数が少なくて配慮しながらでもいちいち会話を挟んで来るのが欝陶しい、なんて思う私は最低なのかな。


「メリークリスマス。申し訳ないですね、クリスマスにまで。ありがとうございます」


「あ……どうも」


そんな擬似恋愛な関係の私達の接客に来たのはサンタクロースの格好をしたタクだった。


今日はどう頑張っても人手が足りないからと、いつもの四人の他に、タクと穂純さんも手伝いに来ていた。


なんだかタクと蒼次郎が顔を合わすのが嫌だ。既成事実を作った罪悪感もあるが、それより蒼次郎にタクと話されるのが嫌。いい人だと思われるのが嫌。


聖なる夜でも私は嫌、嫌と心の中で我が儘ばかり。浅はかで、独りよがりなところはいくら時間が経っても成長する事は無い。
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