【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
今日はクリスマスなせいか、いつもより空席待ちのお客さんが多い印象。


ランチが安くて、しかも美味しくて、店員も恰好いいし、騒がしい雰囲気は無い。


そんな空間だから、こんなにもお客さんが多いのだと思う。それは、お客さんが来てくれる事、現場で働くホールのメンバーの頑張り、社員達の支え、それから、ほんの少しだけ私が監査に協力しているから成り立つものだろう。


私のアルバイトは通常と変わらないからお昼休憩の十五時で上がり。


プリンス達は慌ただしかった前半戦から、後半戦へ向けてそれぞれ身体を休めていた。


「良いんですか?俺まで控室に入って来てしまって」


「別に構わないよ。美姫のツレだしなあ。お前顔悪くないし、何なら二部の時間帯から日雇いで働く?俺達は大歓迎だけど」


初めての空間に少し緊張する蒼次郎の問いに答えるのは、売上日誌をまとめる大喜さんだった。


しかし日誌を纏めるのに忙しいのか、フレンドリーな言葉とは裏腹に顔を上げることは無い。
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