【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「美姫……?」


向こうから歩いて来た母は、私を見てはっとする。


タクは私と母を見比べて難しい顔をした。おそらくこの状況を把握したんだと思う。


私は母の方へまっすぐ歩くいて行く。割れた仮面を心の底に叩きつけ、大人になりかけた汚い女の私で、迷いなく。そして一言言い放った。


「あんたなんか親だと思ってないから。血の繋がった他人だ!勝手に好きなことすればいい!その声で私を呼ばないで!」


もう私の心は崩壊したんだ。


知らない。皆消えちゃえ。消えちゃえ……!


母が今までに見たことないくらい悲しい顔をした。そんな資格無いくせに。私なんか要らないくせに。


なんであんたがそんな悲しい顔すんの?おかしい。おかしいよ。


そして、母親を傷付けて、何故私まで悲しいの?こんな人、言った通り血の繋がった他人じゃない。最初から分かっていたじゃない。


いらぬ期待を捨て切れなかった私が悪いんじゃない。
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