【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
中へ入り、惣次郎は一つの椅子にドカっと座り込む。私もその向かい側に腰を下ろし、中学校の時の事を何となく思い出した。
「……なあ、覚えてる?俺と美姫が初めて喋ったのって中学校の図書室だったよな」
「ん。覚えてる。今、私もその時の事を思い出したところだったんだ」
熱があるのか、いつもより怠そうな蒼次郎の瞳が少し細まる。マスクで良く分からないけれど、微笑んでいる目だというのを長年の勘で察する。
多分、中学二年生だったあの時の事を、蒼次郎も一から思い出しているのかな。
私も初めて蒼次郎と話した時の事を鮮明に、思い出した。
あの時から数えて、蒼次郎とはもう四年もの付き合い。恋人になった期間も三年以上経っていて、その間、これまで蒼次郎はいつも私の隣にいてくれた。
落ち着きがあって、どちらかと言うと物静かで、スポーツは走るの以外は苦手で、寝るのが早いのにそれでも寝たりなくて授業中もたまに寝てるような、そんな普通の男の子の蒼次郎。
落ち着きと判断力で、周りから信頼されてる蒼次郎は、いつも図書室で日向ぼっこしながら寝ていたね。
中学校の時、あの時あの時期に逃げ場を図書室にしていなければ、その事に気付かなかっただろう。
「……なあ、覚えてる?俺と美姫が初めて喋ったのって中学校の図書室だったよな」
「ん。覚えてる。今、私もその時の事を思い出したところだったんだ」
熱があるのか、いつもより怠そうな蒼次郎の瞳が少し細まる。マスクで良く分からないけれど、微笑んでいる目だというのを長年の勘で察する。
多分、中学二年生だったあの時の事を、蒼次郎も一から思い出しているのかな。
私も初めて蒼次郎と話した時の事を鮮明に、思い出した。
あの時から数えて、蒼次郎とはもう四年もの付き合い。恋人になった期間も三年以上経っていて、その間、これまで蒼次郎はいつも私の隣にいてくれた。
落ち着きがあって、どちらかと言うと物静かで、スポーツは走るの以外は苦手で、寝るのが早いのにそれでも寝たりなくて授業中もたまに寝てるような、そんな普通の男の子の蒼次郎。
落ち着きと判断力で、周りから信頼されてる蒼次郎は、いつも図書室で日向ぼっこしながら寝ていたね。
中学校の時、あの時あの時期に逃げ場を図書室にしていなければ、その事に気付かなかっただろう。