【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
そっと惣次郎の顔を見つめると、蒼次郎はマスクを顎下に下げて切なく笑った。
「俺と美姫とは友達のままが一番よかったのかもな。あの時は何でも話せた。美姫は本当に笑ってくれてた。でも今は……なんか、情けないなぁ、俺」
きっと蒼次郎は、変わっていく私の隣にいて何度も傷付いてたんだ。離れて行く心に、何度も心の中で泣いていたんだね。
「……ごめん。蒼次郎を傷つけて」
「いや、謝るのは俺だ。美姫が俺に恋心を持ってないことなんか分かってたのに、自分の手元に置いて苦しめてたんだ。さっさと手放してやれば、お互い楽になれたのにな」
悲しそうな蒼次郎に、私は首をフルフルと横に振った。
「そんな事、ない。蒼次郎は、いつだって私の傍にいてくれただけだ。本当に独りぼっちにならないように。……ねぇ蒼次郎、私の話、少し聞いて?」
こんな風に自分から何かを話すのは初めてで、蒼次郎もそれに戸惑いつつも、真剣な目を向けて頷いてくれた。
「あのね、私……」
そして、母との事や、タクとの出会い、あのお店での出来事、思った事、思っていた事を全て打ち明けた。
蒼次郎は私が言葉を詰まらせても急かさず、ゆっくり、時間を気にすることなくちゃんと、全部を聞いてくれた。
「俺と美姫とは友達のままが一番よかったのかもな。あの時は何でも話せた。美姫は本当に笑ってくれてた。でも今は……なんか、情けないなぁ、俺」
きっと蒼次郎は、変わっていく私の隣にいて何度も傷付いてたんだ。離れて行く心に、何度も心の中で泣いていたんだね。
「……ごめん。蒼次郎を傷つけて」
「いや、謝るのは俺だ。美姫が俺に恋心を持ってないことなんか分かってたのに、自分の手元に置いて苦しめてたんだ。さっさと手放してやれば、お互い楽になれたのにな」
悲しそうな蒼次郎に、私は首をフルフルと横に振った。
「そんな事、ない。蒼次郎は、いつだって私の傍にいてくれただけだ。本当に独りぼっちにならないように。……ねぇ蒼次郎、私の話、少し聞いて?」
こんな風に自分から何かを話すのは初めてで、蒼次郎もそれに戸惑いつつも、真剣な目を向けて頷いてくれた。
「あのね、私……」
そして、母との事や、タクとの出会い、あのお店での出来事、思った事、思っていた事を全て打ち明けた。
蒼次郎は私が言葉を詰まらせても急かさず、ゆっくり、時間を気にすることなくちゃんと、全部を聞いてくれた。