【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
全部を話し終えると、蒼次郎はふう、と溜息を落として、自嘲気味に微笑んだ。
「どうりで敵わない訳だ。……歌川さん、恰好良過ぎるだろ。顔も良くて性格それでちゃんとした大人とか、俺が勝てる要素一個も無いじゃんか」
どうしてこんな私に優しい声で話してくれるんだろう。罵倒せず、私の気持を受け止めてくれる蒼次郎に、言葉が出ない。
「ホントはさ、ずっと美姫は俺に、というか、誰にも愛情なんて抱いてないって知ってたよ。……でも、あの海の写真見た時に気付いた。ああ、この人の事を、美姫は愛しているのかなって」
少し淋しそうに俯いた蒼次郎の表情は伺えないけれど、声色は、初めて私に話してくれた時みたいな、春の風のような穏やかな、心の落ち着く声だった。
蒼次郎は、あの時から何一つ変わってなんかいないんだよね。ずっと私だけを、見てくれていたんだよね。
「ゴメン……私、最低だ」
「謝るな。俺と美姫との四年間はこんな事じゃ崩れないよ。崩したりしない……友達でも構わない。俺は、美姫の味方でいてやりたい。俺の美姫への好きは、恋愛感情だけじゃないんだから」
蒼次郎、私が気付いていなかっただけでこんなにも私を見ていてくれた。今更気付くなんて、ずっと独りぼっちだと思っていたなんて、私は何て最低なのだろう。
もし、それをちゃんと分かっていたら私達、何か、違ったのかな?
いや、もし、それが分かっていて蒼次郎をちゃんと見ていたとしても、私はタクに恋してしまい、彼を裏切るのだろう。
「どうりで敵わない訳だ。……歌川さん、恰好良過ぎるだろ。顔も良くて性格それでちゃんとした大人とか、俺が勝てる要素一個も無いじゃんか」
どうしてこんな私に優しい声で話してくれるんだろう。罵倒せず、私の気持を受け止めてくれる蒼次郎に、言葉が出ない。
「ホントはさ、ずっと美姫は俺に、というか、誰にも愛情なんて抱いてないって知ってたよ。……でも、あの海の写真見た時に気付いた。ああ、この人の事を、美姫は愛しているのかなって」
少し淋しそうに俯いた蒼次郎の表情は伺えないけれど、声色は、初めて私に話してくれた時みたいな、春の風のような穏やかな、心の落ち着く声だった。
蒼次郎は、あの時から何一つ変わってなんかいないんだよね。ずっと私だけを、見てくれていたんだよね。
「ゴメン……私、最低だ」
「謝るな。俺と美姫との四年間はこんな事じゃ崩れないよ。崩したりしない……友達でも構わない。俺は、美姫の味方でいてやりたい。俺の美姫への好きは、恋愛感情だけじゃないんだから」
蒼次郎、私が気付いていなかっただけでこんなにも私を見ていてくれた。今更気付くなんて、ずっと独りぼっちだと思っていたなんて、私は何て最低なのだろう。
もし、それをちゃんと分かっていたら私達、何か、違ったのかな?
いや、もし、それが分かっていて蒼次郎をちゃんと見ていたとしても、私はタクに恋してしまい、彼を裏切るのだろう。