【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「だからさ、最後ぐらいカッコつけさせてくれよ。俺がフラれるんじゃなくて、俺から美姫をフラせて」
嗚呼……なんで最後までそんなに優しいの。あんなに傷付けたのに、最後まで傷付く方を選ばないでよ。
蒼次郎のこれからの言葉を止めようにも、言葉が喉に詰まって出ない。どうして出ないの、出てよ、私の声。
そんな私を見て、蒼次郎は別れの言葉には似合わない、彼らしい穏やかな笑みでその言葉を告げた。
「美姫……俺と別れて。他の男が好きな女なんて無理だよ。裏切り者」
わざと責めるような言葉を選んだくせに、微笑みを携えた蒼次郎の瞳は切なく、これまでで一番傷付いた色を帯びている。
きっと私から蒼次郎を切るとまた苦しむんじゃないかって、私の為にそう言ってくれてるんだってひしひしと伝わって、奥歯をぎりぎりと噛み締めた。
想いが伝わるから、だから、私の胸の奥も悲鳴をあげるんだよ。
「大体、彼氏がいるのに何だよ、何でっ……くそ、これ以上責めるの無理。だって俺、歌川さんマジ恰好良いって思うもん。美姫が惚れてもしょうがないっつか、はは……」
蒼次郎がタクに敵わないとか、そんな事は無い。蒼次郎には蒼次郎の魅力があって、人の為に動けるタクとは違う、人の傍にいれる素敵な魅力が蒼次郎にはあるのに。
けれど、傷付けて、最後まで汚れ仕事を押し付けた私には、蒼次郎にそれを伝える事は出来ないんだね。
嗚呼……なんで最後までそんなに優しいの。あんなに傷付けたのに、最後まで傷付く方を選ばないでよ。
蒼次郎のこれからの言葉を止めようにも、言葉が喉に詰まって出ない。どうして出ないの、出てよ、私の声。
そんな私を見て、蒼次郎は別れの言葉には似合わない、彼らしい穏やかな笑みでその言葉を告げた。
「美姫……俺と別れて。他の男が好きな女なんて無理だよ。裏切り者」
わざと責めるような言葉を選んだくせに、微笑みを携えた蒼次郎の瞳は切なく、これまでで一番傷付いた色を帯びている。
きっと私から蒼次郎を切るとまた苦しむんじゃないかって、私の為にそう言ってくれてるんだってひしひしと伝わって、奥歯をぎりぎりと噛み締めた。
想いが伝わるから、だから、私の胸の奥も悲鳴をあげるんだよ。
「大体、彼氏がいるのに何だよ、何でっ……くそ、これ以上責めるの無理。だって俺、歌川さんマジ恰好良いって思うもん。美姫が惚れてもしょうがないっつか、はは……」
蒼次郎がタクに敵わないとか、そんな事は無い。蒼次郎には蒼次郎の魅力があって、人の為に動けるタクとは違う、人の傍にいれる素敵な魅力が蒼次郎にはあるのに。
けれど、傷付けて、最後まで汚れ仕事を押し付けた私には、蒼次郎にそれを伝える事は出来ないんだね。