【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ



大晦日の渋滞の無い道路を車で走りお店に辿り着くと、真昼間なのに大人の男が既に四人、揃ってお酒を飲んでいた。しかも、結構出来上がっている者もいる。


いや……今のは訂正です。正確に言えば、生物学的に言うと女性が、一人。どう見ても男にしか見えないけれど。


「くっはあー!しかし、大晦日なのにこんなのもいいね!あー、久々の浴びるような酒!」


この店の、このオリジナルメンバーの中でも一番の酒豪である穂純は、グラスを片手、焼酎の瓶をもう片手にケラケラ笑っている。


「やぁ、いつからやっていたの?もう穂純出来上がっているじゃないですか」


「あ、タクさんやっと来たー。飲みは三時間くらい前からですけど、タクさん休みの日は死んだように寝てるって言ってたからさー」


僕を呼んだ張本人の大喜も、もう首まで真っ赤に染めてヘラヘラしている。お酒に弱いくせにこんな時間から結構飲んでいますね。


「それにしても、こんなこと提案するなんて大喜も暇じゃのう」


そんな中では割とまともな美琴が、妖艶な顔をニタリと全体的に寄せて早速大喜をからかい始める。


「あ、酷い。集まる皆も暇じゃん」


ポテトチップスを食べながらニヤニヤしている美琴にすかさず突っ込む大喜。


サディスティックな先輩に、弄られキャラの後輩。ここ二人の関係は恐らく、死ぬまで変わらないのだろう。
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