【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
当時から未成年では無かった僕に続くように、ゴローも美琴も、子供だと思っていた大喜に穂純まで、みんな大人になってしまった。
こうして五人で集まることが当たり前ではなくなった今、こういう時間はとても貴重だ。
五年前は同じ宿舎で過ごし、互いの痛みも皆で分け合った。
そんな日々を過ごした僕達だからこそ、いつまでもこうやって変わらぬ関係を築いていけるんでしょう。
けれど輝いた四人を見てると、たまに僕は何をやっているんだろうと思う。
洗いざらい全てを吐き出す僕を、真剣で、厳しい目で見る四人を見ると、浮かんだ彼女の切なげな顔に謝りたくなる。
僕の勝手で、我が儘で、美姫を汚してしまった。めいっぱい幼い身体で、心で体当たりしてくる美姫を痛め付けた。
このままで良い訳が無い。そんなこと分かり切っているのに。
臆病で、いつまで経っても一人だけ立ち止まったままの僕は結局そこに呆然と立ち竦むばかりだ。
美姫のお母さんには偉そうに説教たれた僕だけれど、本当の僕はこんな奴。この程度の男。
もし美姫がそれを知ったら失望するのかな。離れてしまうのかな。
それが彼女にとって幸せな道だと言うのに、僕は彼女を受け入れず、それでも抱き締める手を緩めない。