【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ

会社から数分。車に揺られ、ついにお店の前へと到着。タクから教わった通り、まずは掃除等の外観のチェック。


お店の外観はレンガ造りの二階建て。二階部分の殆どを占めている広いテラスと日除け用のパラソルは、清潔感のあるオフホワイトとグリーンカラー。見た感じ、掃除はしっかり行き届いている印象。


でも、何だろう、何となく、百点満点という感じがしないんだ。


「清潔感はあるけど……うーん、何か物足りないような」


「何か、とは？」


私が漏らすように言った言葉をタクは丁寧に拾い上げ、真剣な顔で聞き返す。


でも、無意識に思ったことだったからすぐには答えることが出来ずに私は立ち止まり、タクを見上げた。


「すみません、そんな事を言われるだなんて思っても見なかったのでつい……何が物足りないのか浮かんだら是非、意見を聞かせて下さい」


タクは困っている私に気付き、苦笑しながら優しく言った。


それだけ真剣なのだ。タクは、仕事やこのお店に対して真剣に取り組んでいる。