総長と女番長 ~ときどきお兄ちゃん~
ただいまー

私が家に入ると、見慣れない人がいた。

誰よ?この人…お母さん?と声をかけると…

知り合いよと言われた。

酷くない?知り合いって…実の息子だっつーの。


えぇーどーゆうこと!?

私にはおにぃちゃん二人いるの?知らなかった…ってそんな話きいてなーい。

あの…声をかけてみた。

俺帰るよ、邪魔して悪かったなぁ~って帰っていった。


お母さん?どーゆうこと?


ゴメンね。隠してて…あの子は正真正銘私の子なんだけど…お父さんが違うのよ。


私、衝撃とショックで言葉がでなかった。

しばらくして私少し落ち着いて、お母さんと二人で食事を始めた。


お母さんによると、昔結婚する前にお付き合いしてたひとの子で、向こうが引き取ったらしい。子供が出来ない体質の奥さんに出会い、息子のように可愛がってくれてたと…けど、お母さんがなくなり、お父さんが過労とショックで倒れて、いく場所が無くなって尋ねて来たとのこと。

泣きそうになった。


私、お兄ちゃん増えてもいいよ?

気づけばお母さんにそう言ってた。

ありがとうと笑ってくれた。

お母さんに私は文化祭の話をした。そして、今日、担任の手伝いをして送ってもらったことを言った。

そう、と嬉しそうに笑ってくれた。

私はそのあと、お風呂に入って髪を乾かして寝た。


翌朝、カーテンを開けて、伸びをする。

いつもと変わらない朝。

だけど…何かが違う気がする。

なぜだろう?この違和感のあるモヤモヤは…。

とりあえず、制服に着替えて、鞄を持つと、自分の部屋を出て階段を下りた。


お母さんはいつもと変わらずお弁当を作ってくれていた。

けど、どこか疲れているような顔…。

おはようーと私は言うと、お母さんを覗きこんだ。

私を見ると、オーバーリアクションでビックリしてくれたお母さん。

どしたの?声をかけてみた。

あの子、浩紀って言うんだけど…もし、今病院で頑張ってるお父さんいなくなったら一人になっちゃう…

心配で…まだ若いのに、両親を無くしていく場所無いなんて…どうしてあげたらいいかなって…

うちで一緒に暮らそうよ。人数多い方が楽しいよ!!

私は能天気なことを言ってみた。


まぁ、絶対お兄ちゃんが受け入れてくれないだろうけど…。

ほんとはわかってる。二十歳過ぎてるんだから一人で暮らせるって…けど、お母さんがどこか辛そうで…寂しそうで…ホントに何とかしてあげたくて…
気づいたら言葉に出てた。


ありがとう、学校行ってきて…あの子には連絡しとくわ。
もちろんお兄ちゃんにも…

そうお母さんに言われて、私はお弁当を鞄に入れると家を出た。

いつもと何も変わらない…。

私は学校に向かった。

グランドで結城に会う。

おはようーいつものように声をかけてくれた。

おはようーと返して私たちは教室に向かって歩き出した。

代わり映えしない日常。

いつもと同じく体育意外の授業は寝て過ごしてる私。

今日はいつもより穏やかじゃない。

心がなぜかざわつく。

理由はわかってる…けど、すぐには認めてあげられない…。

お母さんの苦しそうな顔が頭をよぎった。

どうすればいいんだろう…。

きっと寂しいだよね…。うちを尋ねて来るくらいだから…

でも、だったらどうなる?

お兄ちゃんはほとんど家に帰ってこないし、

家族が増えるのは嬉しいけど…上手くやってける?

急に現れた異父兄弟と…。

頭はそればかりがぐるぐる回る。

って、私何考えてるんだろう…。まだ向こうのお父さんは病院で頑張ってるわけで…うちに来るとは言ってないよね…

うん。そうだ、悩んでも仕方ない。


私は極力考えないようにした。

そして、ランチの時間…

お弁当の蓋を開けた。う~ん美味しそう♪

心の中で思いきり、いっただきまーすと言ってお弁当に箸を入れた。

結城が当たり前のように私の隣に来ている。

いっつも思うんだけど…ホントに嬉しそうにお弁当食べてるよね…と不思議そうに言ってくる。

だって、お母さんの作るご飯美味しいんだもん!!

なぜかとびきりの笑顔で言ってしまった。

結城は何も言わなかった。

何か言ってよ…って心で呟いてみたけど結城は何も言ってはくれなかった。
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