総長と女番長 ~ときどきお兄ちゃん~
放課後になって、私と結城はまた教室に残っている…

毎日、何で部活ないのに教室で何もせずにボーッと過ごす必要があるんだろう…

特に意味のない行動を続けてる私、

そして、結城。

目的なんてない。ただ、まっすぐに家に帰らないだけ…。


昨日の放課後は何してた?いきなりそう言われた。

担任が来て文化祭の準備手伝ってたよ。


って言ったら、マジかよ…って。


驚きすぎじゃね?まあ私そんなタイプじゃないかもしれないけど…。


会長、去年も凄い特攻服作ってたって。
それ聞いてすごく楽しみで…。


結城は笑った。


凄いやつ…ってもしかして、ヤバイ系?と結城がいった。


違うよ。何かね、デザインとか色とかは独断で決めてるんだけど…かなりカッコいいんだって。その人が映える特攻服らしいよ…

私が目を輝かせてそう言うと、

なるほど…と頷いた。

って…文化祭まであと何日かしかないね。


結城はどうなの?女装…。


大丈夫だよ!相手は手強そうだけど…。唯に選んで貰えるって信じてるから…人気投票がドベでも唯が選んでくれるならそれでいい…

とはにかまれてしまった。


ズルいよ結城…そんな顔されてそんなこと言われたら…選ばないといけなくなるじゃん。絶対結城以外にしようって決めてるのに…

しばらく話して帰ることになった。

送ってく。って言ってくれて…

一緒に帰ってる。お兄ちゃん登場。

どしたの?と聞けば、こんなやつとつるんでるのか?と言われた。

はぁ?いきなり何よ…私キレそうなった。

お母さんから聞いた。たまに朝帰りもあるんだって?と…。


それがなに!?

何なの?急に…お兄ちゃんどうしたの?

とにかく、帰るぞ…。私、腕を引っ張られ仕方なくついていくしかない。

呆然と結城は見ていた。

家の前で、悪かったな…動揺してたんだ。母さんの隠し子の存在聞いて…。


なんだ、そうゆうこと。お兄ちゃんらしい…

私も、思ったよ。けど、お母さん、辛そうで、見てられなくて、お母さんが望むならお兄ちゃんになってもらってもいいのかな?って思った。

単純でバカだから深く考えられないし、浅はかだとは思うけど…。

お兄ちゃんは優しかった。私の考えに賛成してくれたみたいだ。

ありがとう、お兄ちゃん。

私は微笑んだ。そして、元気ただいまーと家に入った。

お兄ちゃんは入らなかった。そして、自分の家に帰っていった。

お母さんはご飯を作って待っていてくれた。

私とお母さんは二人で食事をする。

たいした会話はなかった。

けど、私は最近気になってたことを聞いてみた。

お母さん、あのね、最近気になってる人がいるんだけど…私恋愛とかしたことないからこの感情が何なのかよくわからなくて…


お母さんは言った。

いいんじゃない?意識し始めた人でしょ?あなたが、選んだんなら文句言わないけど…
どんな人なの?って。


同じクラスの男子でね、ウザいくらい頻繁に絡んでくれる…。暴走族の総長でモヒカン頭だけど優しくて、いつも家まで送ってくれてる…


私がそう言うと、そっか…それは好きになり始めてるってことよ


って返された。

なんだ私、結城のこと、好きなんだ…

その日は深く考えないようにした。そして、お風呂に入って、髪を乾かして寝た。





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