総長と女番長 ~ときどきお兄ちゃん~
あんたたちいつの間に仲良くなったの?とお母さんが言った。

そうだったーお母さんに言うの忘れてたー

休みの日とかに会ってたんだよ♪と冗談を言ってみた。

私に内緒で?と言われた。
うっ、ゴメン。

何が理由なの?

母さん、知ってる?俺と唯は同類だよ。お互いに引き寄せあった!!

とか、くっさーい台詞で納得させようとしている浩紀兄さん。

おかんがそれで納得するかーいと思いきり心で突っ込んでみた!!

アカン?やっぱ納得しやん?

と何故か私の顔を見る浩紀兄さん、

ウンウン。頷いてやった。

そうか。まぁええやん。

って。何で関西弁やねん!!急に…と私はさらに突っ込んでみた。

お母さんはそんな私と浩紀兄さんのやり取りを楽しそうに笑いながら見ていた。

で、実際は何回くらい?あの時初対面だったのに…とお母さんが聞いてくる。

十数回は会ってるよな?と私を見て言う浩紀兄さんに頷いた。

実はね、よく学校とかに来てくれてた見たいで…あんまりちゃんと話したことはなかったんだけど…顔見知りだったの。

それでね、こないだお母さんに浩紀兄さんのこと聞いて…少しずつ会話するようになったの。
そしたら同類だーみたいなって。楽しくて…って私、ほんとのこと言っちゃった。

クソー私より会ってる回数多いのね!!と訳のわからない怒り方をするお母さん。

浩紀兄さんは笑っていた。

こうやって、笑いのたえない食事の時間が続けば楽しいよねー

心のそこから私はそう思った。

母さん、親父と再婚する気ない?といきなり言い出した浩紀兄さん。

やめてよ…私のお母さんとらないで…

気づいたら涙目の私。

ゴメンね。無いわ。あの人は再婚望んでないでしょう?
それに…私は唯が大切。唯が一番だから!!とお母さんは言って私に笑いかけてくれた。

ありがとう、お母さん大好き。

そっか、だよね。また遊びに来てもいい?

もちろんー私とお母さんは声を揃えた。

ならそろそろ帰るよ。おやすみー
浩紀兄さんは帰っていった。

お母さんと二人になった家はシーンと静まりかえってる。

やっぱり、二人は寂しいよね…。

お兄ちゃんがまだ居てくれたらいいのに…。

そんなことを思いながら、私はお風呂場に向かった。

お風呂に入って…髪を乾かして、寝た。

緊張と興奮からなのか、あまりグッスリとは眠れなかった。

翌朝ー朝陽が射し込んで目が覚めた。

カーテンを開けて伸びをする。

う~んいい天気。

私は真新しい特攻服に袖を通した。

会長のセンスに惚れ惚れしながら着替えて準備した。

鞄を持って階段を降りるーお母さんは笑顔でおはようと迎えてくれた。

二人で食事をした。

似合ってるわよーお母さんのその一言で笑顔になれる。

私は準備を終えて、鞄にお弁当を入れると、行ってきまーすと家を出た。

いつもと変わらない通学路のはずなのに…何かとても新鮮で…。
学校に向かう生徒の横を通りすぎた。

校門をくぐると、文化祭らしい装いになっている。

私は後ろから声をかけられた。

おはようー

結城だった。おはようとかえしながら二人で教室に向かう。

昇降口で会長が迎えてくれた。

おはようー。

私は笑顔でおはようございますと返した。

やっぱりキミにはその特攻服が一番似合うよ。まぁ、楽しんで…

と会長は言うと去っていった。

かっこいいなぁ~会長…なんて見惚れてたら結城は不愉快そうにムスっとしている。

何だか妙に可愛い…なんてね。そんなこと言ったら怒られそうだから言わないでおこう。

私たちはまた歩き出した。結城とも会話はなくなった。

このときは相変わらずのブロンドモヒカンで…いつ、女装するんだろうーとか勝手に考えていた。

それからしばらくして、私は一人で模擬店をまわっている。

結城が準備があるからと一緒にまわってくれなかったからだ。

一人で寂しくまわってると、浩紀兄さんが声をかけてくれた。

そして、一緒にまわってくれた。

どうしてこの人は一緒にまわってくれるんだろう…と思いながら。

これから起こる出来事を私はまだ知らない。

けど、浩紀兄さんは警戒するように周りを見ながらも私のそばを離れず、話にもちゃんと相づちをうってくれている。

ついつい甘えてしまう。

そんな矢先のことだった。
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