総長と女番長 ~ときどきお兄ちゃん~
いきなり、浩紀兄さんは

来たぞ、覚悟決めろと言った。そして、目を凝らしてそちらを見ると、エンスパイヤの奴らがいた。

浩紀兄さんは私の腕を掴んで走り出した。

そしたら今度は反対側から蓬莱の奴らが来た。

完全に挟まれたー逃げ場はなくなった。

どーしよう…確か会長に言われてはいたけど…ホントに噛まされるとは…と思考を巡らせていると、

油断すんなよ。強行突破すると浩紀兄さんは言い出した。

マジでいってんの?嘘でしょ…

浩紀兄さんはケータイを取り出すと会長にメールをしている。

会長は駆けつけてくれた。

どうすんの?と私が聞けば、潰すと言われてしまった。

本気?と聞けば、お前に怪我させるわけにはいかない。会長との約束だと言われてしまった。

どうしよう…私の心臓はドクドクと早い脈をうっている。

勝てる自信なんてない…。いや、自信がないんじゃない。人数が多すぎるんだ。

コイツら何人いるんだよ?しかも二校同時って!!

いくら私でも無理に決まったんだろうが…。

そんなことを思ってると、横で浩紀兄さんは笑った。

心の声漏れてるよ…なんて…。

出してませんけど?

浩紀兄さんは笑いながら、言わなくてもわかる。

と言った。さすが…とか思った。

俺の今日の目的は…唯を守ることだ。
だから、俺を信じてくれ。半分は俺が片付ける。

と心強い言葉をかけてくれた。

そして、私たちは背中合わせで立つと、両者に向かってかかってこいと言った。

浩紀さん、何で唯に戦わせようとしてんですか?一人でちゃっちゃと片付けてくださいよーと会長が叫んでる。

アホかお前、いくら俺でもこんな大人数相手できっかよ!ざっと100近くはいるじゃねぇーかよ!

と浩紀兄さんは言った。

私たちは戦闘モードにスイッチを入れた。
相手が勢いよく向かってきた。
怯めない。やるしかないー私は身構えた。次々に向かって来る相手を順番になぎ倒していく私と浩紀兄さん…。

半分くらい片付いたところで、私の体力が悲鳴をあげ始めた。

呼吸が荒くなり、私は肩で呼吸をした。

そんな私を見て、下がってろと浩紀兄さんは私に声をかけると、残りのやつを見事に戦闘不能状態にした。

このときは私も浩紀兄さんも終わったと思ってた。

私は会長に連れられ、イベントの為に、体育館に向かった。

体育館はすごい熱気でかなり盛り上がっていた。

ステージ袖で見守る私…

イベントはすでに始まっていた。とは言っても今は私の参加しない女装男子の人気投票だったけど…。

みんなクオリティーかなり高い。ホントに美少女だった。
結城は…あのブロンドのモヒカンはというと…きれいにウィッグで隠されている。少し巻き髪のゆるふわの濃いめのブラウンのウィッグ。長さは普段と変わらないくらいの腰まである。服装は…花柄のワンピース。
はっきり言うと、めっちゃ可愛くて…女装も似合ってんなぁ~。

思わず私は見惚れていた。

そうしていると会長から声をかけられ、慌てて舞台に出た。

きゃーっという歓声やぬぉ~と唸るような地響きに驚きながらも舞台中央に立った私の横に来た会長は言った。

えーでは、いよいよ、番長による、選ばれし美少女の発表です!!

と。私の緊張はピーク。周りを見渡せばみんな楽しそうに眺めている。

今までに感じたことない緊張に潰されそうになりながらも、女装男子を一人づつ丁寧に見た。

生で見るとやっぱりみんな綺麗で可愛い…。

クソ~羨ましいぜ。と思いながら、みんなに笑顔を向けた。

そして、私は結城の前に立った。そして、結城に手を差し出し、笑顔で、

相澤結城さん、よろしくお願いしますと言った。

みんなからは盛大の拍手とヒューヒューと声がとんだ。

その横で、あーあ、僕は選んでもらえなかった。

と呟かれた。

ごめんなさい、確かにめっちゃ綺麗で…殿堂入りしている去年の王者だってことは承知してます。けど、私は最初から結城に決めてましたので…

と私が言うと、知ってる。わかってたよ♪お幸せにと返事してくれた。

周りからはさらに大きな拍手が送られた。

では、二人のデート見送りましょーと会長に言われて、私と結城は並んで舞台を降りた。
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