総長と女番長 ~ときどきお兄ちゃん~
fourth
いつもと変わらない…けど、最近なんか足りない。

何が足りないかはわからないけど…なんか…なんか足りない。

少し変わったことと言えば…私が番長として堂々といられること。

会長が馴れ馴れしくなったこと。

結城は…相変わらず変わりなく私のそばにいるな。

何でこんなに、アピっといて私に何も言ってこないんだろう…。

結城に告白されたら少しは考えるけど、OKするのに…。

だからといって自分からは言いたくないし。

そんなことを最近ずっと考えてる気がする…。なんか情けなくなる。

相変わらず、授業は寝てるし、話だってろくに聞いてない。

そんなある休みの日ー
休みだからと私は外に出た。

お兄ちゃんと、浩紀兄さんと3人で会う約束してたから。

浩紀兄さんは迎えに来てくれて…私と並んで歩いた。

緊張しているのか、少し顔が強ばっているのがわかった。

とある喫茶店…私と浩紀兄さんは先について並んで座った。

お兄ちゃんは少し遅れてきた。

ゴメン、お待たせーって。

とりあえず、私の前に座ったお兄ちゃんはコーヒーを頼んだ。

私と浩紀兄さんはすでにコーヒーを飲んでいる。

まず、こないだの文化祭についてだ。おもいきり暴れたんだってな?

と怖い笑みを浮かべてお兄ちゃんは言ってきた。

あれは…やむ終えなかったのよ。と私、

浩紀兄さんは私をかばってくれた。

あれは仕方なかったんだよ。もし唯があのとき守れてなかったら…学校はえげつなくひどいことになってたんだからって。

お兄ちゃんの反応は、馴れ馴れしく、俺の妹を唯って呼んでんじゃねぇーだった。

私、笑いそうになった。

だって俺ら、仲良しだもんねー?って私の顔を見てくれる浩紀兄さん

私は浩紀兄さんの顔を見ながら、ねーって返した。

お兄ちゃんの複雑そうな顔を見ながら、

浩紀兄さんの方がお兄ちゃんより年上だよ。って言ってやった。

こんなやつ、俺は兄貴なんて認めない。
唯の兄貴は俺だけだなんて言ってるお兄ちゃん。

俺も、認めてもらおうなんて思ってないよ。今更だし…けど、知っといて欲しかったから…唯と君のお母さんが俺を産んだ事実だけは。

と浩紀兄さんは言った。

お兄ちゃんの複雑そうな顔はもっと険しくなった。

浩紀兄さんは普通にコーヒーを飲んでいた。

今は…何してんの?とお兄ちゃんは聞いた。

少し間をとった浩紀兄さんは今は…フリーターかな?と笑った。

笑い事じゃないよ…フリーターだって胸張ることじゃない。ってほんとなら思う。

けど、理由は知ってる…。浩紀兄さんが話してくれた、フリーターになった理由…。

だから私は少しうつ向きながら、コーヒーをすすった。

もう、お前はうっさいだよ。もっと優しく飲めんのか!!音たてて飲むな、みっともない!!

と、お兄ちゃんに怒られてしまった。

はーい、ゴメンなさーい。とりあえず言ってみた。

お兄ちゃんはかなりの呆れ顔。

それ以上は何も言わなかった。

話を戻したお兄ちゃんは浩紀兄さんに何でフリーターやってんの?って聞いた。

浩紀兄さんからかなり、聞くなやオーラが出ていた。

お兄ちゃん、空気読んで…私は言った。

納得出来んだろ!ろくに働きもせずうちに入り浸りやがって…!

お兄ちゃんかなり怒ってた。

はぁ、やっぱ無理。俺、この人と合わんしキライと浩紀兄さんは言った。

やっぱり?私も大嫌いだよ…笑顔で言ってやった。

お兄ちゃんはかなりショックだったのか、急にショボーンと落ち込んでしまった。

言葉を発しなくなった。

そんなお兄ちゃんを見て、私は高らかに笑った。

そして、急に立ち上がった。

どしたの?と嫌みっぽく聞いてやる。

帰る…と言い出した。

思わず私、立ち上がってしまった。

待って…お兄ちゃんの腕を掴んでいた。

言いたいことたくさんあるの。もう少しだけ…私のはなし聞いて?

と私が言うと、お兄ちゃんは静かに座った。

私も座り直した。浩紀兄さんは成り行きを見守っている。
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