ハロウィンにて
 もう、ここから出ても、いいかな。


「俺、もう帰る。また、会社に来るときは、よろしく」

「えー。もう帰るの?」

「十分、この部屋の雰囲気、楽しんだだろ?もう、俺の同僚、どこかに行っただろうし」

「パーティーも終わったかな?」

「うーん。まだだろうけど。もう、このホテルの前、誰も通らないだろう」

「通ったら?」

「その時は、その時」

「孝太、成績とかいいの?」

「もういい。もし、辞めさせられたら、友化経由でおじいさんに、頼んでもらう」

「どうして、私が?」

「冗談。ここにいても、何もすることないから、帰る」

「帰るって、一応、できること、なくはないけど。ここで」

「俺、そういう目的で来たわけじゃないし」

「あ、うん。じゃ」

「うん」








 え゛っ。

 この会計って、二人同時に出ないと、いけないのか。


「孝太、出て行かないの?」

「出ていきたくても、友化も出ないと、出れない」

「どうして?」

「そういう仕組み。二人同時に出ないと、会計できない。」

「そんなの、一人ずつ出ても、ばれないって」

「人がいたら、感知システムでわかるから、無理」

「そんなの、書いてるだけだって」

「後で、ばれたら、ややこしい事になったら、嫌だから」

「ばれないって。変なとこで真面目なんだから。私は、もうちょっといるよ。」

「えっ。帰れって。ここにいても、何も・・・・」

「私は、もう少し、ここにいる!」


 大きい声。


「友化、声大きいって。そんな声出さなくても、聞こえるって。わかった。」










「孝太、何、してるの?」

「することないから、瞑想してる」

「ふーん。じゃ、私、このベッドで一人で寝る」

「どうぞ。お好きに。でも、料金が、どんどん高くなるぞ」


 もう、寝てるし。


「おーい」

 早っ。


「友化が、8割ぐらい、出せよ。会計。俺は、付き合って、こういうことになってるんだからな」

「それは、嫌だ」


 あ、起きた。


「シャワー浴びて、帰ろうっと」


 よかった。やっと、帰ってくれる。


「孝太も一緒に入る?」

「なっ」

「冗談だよ。そんな狼狽しなくても・・・もしかして、本当に、入りたかったの?」

「違う!急に変なこと言うから、びっくりしただけ」
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