俺様当主の花嫁教育
屈辱的な失恋にゴング
二十代最後の年を迎えたその日。
俄かには信じられないことが起こりました。
合コンで知り合った、同じ会社の財務部勤務のエリート社員。
私より一つ年上の西郷譲(さいごうゆずる)、三十歳。
私の誕生日に『会おう』と言ったのは、彼の方だ。
付き合って半年。
将来の決断をするには、やや焦り過ぎの感は否めない。
だけど世間的には決して早いわけじゃないし、年齢を考えても、今がまさにその時!だと思った。
だから、彼からの『プロポーズ』を先読みしていつもよりデート服も気合を入れた。
オフィスを出て来る前に髪を巻き直して、念入りにメイクを直した。
少なくとも、通常比三割増しくらいの私のはずだ。
きっと……。
三ツ星レストランの窓際の夜景が見える席で向かい合ったら、西郷さんはスーツのポケットからおもむろに小さなジュエリーケースを取り出す。
そして、私に言うはずだ。
『結婚しよう』
その言葉を想像して頬の筋肉を緩めた。
今か今かと彼の右手ばかりを注視していた。
なのにその手はテーブルの上で軽く指を組み合わせたまま。
「あのさあ……。悪いんだけど」
彼は、私の期待とはなんだか違う一言を呟いた。
俄かには信じられないことが起こりました。
合コンで知り合った、同じ会社の財務部勤務のエリート社員。
私より一つ年上の西郷譲(さいごうゆずる)、三十歳。
私の誕生日に『会おう』と言ったのは、彼の方だ。
付き合って半年。
将来の決断をするには、やや焦り過ぎの感は否めない。
だけど世間的には決して早いわけじゃないし、年齢を考えても、今がまさにその時!だと思った。
だから、彼からの『プロポーズ』を先読みしていつもよりデート服も気合を入れた。
オフィスを出て来る前に髪を巻き直して、念入りにメイクを直した。
少なくとも、通常比三割増しくらいの私のはずだ。
きっと……。
三ツ星レストランの窓際の夜景が見える席で向かい合ったら、西郷さんはスーツのポケットからおもむろに小さなジュエリーケースを取り出す。
そして、私に言うはずだ。
『結婚しよう』
その言葉を想像して頬の筋肉を緩めた。
今か今かと彼の右手ばかりを注視していた。
なのにその手はテーブルの上で軽く指を組み合わせたまま。
「あのさあ……。悪いんだけど」
彼は、私の期待とはなんだか違う一言を呟いた。
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