俺様当主の花嫁教育
正味小一時間ほどで、お茶会は終わった。
正客が立ち上がるのを眺めながら、私は心の奥底で大きく大きく息を吐いた。
良かった、無事に終わった。
初めての茶道のお茶会でも、粗相することもなくなんとか無難にやり遂げた。
どう見ても格が違う他の客が眉をひそめるような、奇異な行動もとっていない。
明らかに初心者の空気は隠せずとも、これなら御影さんにも『時間の無駄だ』なんて言わせない。
求められたのは完璧さじゃない。
御影さんに見込みがあると思わせることが出来れば、それが私の合格点なのだから。
思わず笑みが零れるのを抑えられない。
御影さんが私に目を向けて、怪訝そうに眉をひそめたのがわかったけれど、私は自己満足しながら、他の客に倣って立ち上がった。
……ところが。
「……っ……!?」
慣れない着物でどれだけ長い時間正座をし続けただろう。
初めてのお茶会に緊張しすぎて、足の痺れを気にする余裕もなかった。
なのにいきなり立ち上がったせいで、足元が覚束ない。
その上、倒れ込みそうになるのを堪えるように踏み出した足も全く感覚がなく……。
正客が立ち上がるのを眺めながら、私は心の奥底で大きく大きく息を吐いた。
良かった、無事に終わった。
初めての茶道のお茶会でも、粗相することもなくなんとか無難にやり遂げた。
どう見ても格が違う他の客が眉をひそめるような、奇異な行動もとっていない。
明らかに初心者の空気は隠せずとも、これなら御影さんにも『時間の無駄だ』なんて言わせない。
求められたのは完璧さじゃない。
御影さんに見込みがあると思わせることが出来れば、それが私の合格点なのだから。
思わず笑みが零れるのを抑えられない。
御影さんが私に目を向けて、怪訝そうに眉をひそめたのがわかったけれど、私は自己満足しながら、他の客に倣って立ち上がった。
……ところが。
「……っ……!?」
慣れない着物でどれだけ長い時間正座をし続けただろう。
初めてのお茶会に緊張しすぎて、足の痺れを気にする余裕もなかった。
なのにいきなり立ち上がったせいで、足元が覚束ない。
その上、倒れ込みそうになるのを堪えるように踏み出した足も全く感覚がなく……。