俺様当主の花嫁教育
「あっ……!!」
大きく傾く身体を制御できずに声を上げた。
私の目の前で、優雅に正座したままの御影さんが、大きく目を見開いていた。
「なっ……」
「きゃああっ……」
完全にバランス感覚を失ったまま、ドサッと音を立てて畳に倒れ込んだ。
「あらあら……」
お茶室から退室しようとしていた他の客の、小さな声が耳に届く。
わずかな失笑も漏れ聞こえて、私は最後の最後で大粗相をしでかしたことに全身の血の気が引く思いだったけれど……今は、それどころじゃない!!
一瞬感じた衝撃に息をのみながら、感触と視覚に息が止まるかと思った。
目の前の漆黒の瞳に、私の顔が映っている。
畳に倒れ込んだはずの身体には、意外にも硬い衝撃がなかった。
そして……。
唇に感じる、温かくて柔らかい温もり。
一瞬頭の中が真っ白になった後で、触れているのが何かということに気づいた。
慌てて身体を起こして逃げようとするより一瞬早く。
「何しやがる、さっさとどけっ……!!」
それまでたおやかな着物男子だった御影さんが、出会った時のままの『素』を露わに、厳かな茶室にそぐわない乱暴な声を上げていた。
次の瞬間、大きく腕を横に払って私を押しやって……。
「ひゃあっ!!」
私は、無様に、畳にごろんと転がるのだった。
大きく傾く身体を制御できずに声を上げた。
私の目の前で、優雅に正座したままの御影さんが、大きく目を見開いていた。
「なっ……」
「きゃああっ……」
完全にバランス感覚を失ったまま、ドサッと音を立てて畳に倒れ込んだ。
「あらあら……」
お茶室から退室しようとしていた他の客の、小さな声が耳に届く。
わずかな失笑も漏れ聞こえて、私は最後の最後で大粗相をしでかしたことに全身の血の気が引く思いだったけれど……今は、それどころじゃない!!
一瞬感じた衝撃に息をのみながら、感触と視覚に息が止まるかと思った。
目の前の漆黒の瞳に、私の顔が映っている。
畳に倒れ込んだはずの身体には、意外にも硬い衝撃がなかった。
そして……。
唇に感じる、温かくて柔らかい温もり。
一瞬頭の中が真っ白になった後で、触れているのが何かということに気づいた。
慌てて身体を起こして逃げようとするより一瞬早く。
「何しやがる、さっさとどけっ……!!」
それまでたおやかな着物男子だった御影さんが、出会った時のままの『素』を露わに、厳かな茶室にそぐわない乱暴な声を上げていた。
次の瞬間、大きく腕を横に払って私を押しやって……。
「ひゃあっ!!」
私は、無様に、畳にごろんと転がるのだった。