パレット 〜White Story〜
「陽斗には言われたくないんだけど…彼女出来た事ないでしょ?正輝みたいに恋愛の話とか聞いた事もないし。」

深優はニヤリと笑ってみせた。

『好きな人がいたってな、お前にだけは相談しねぇよ。』

「好きな人いるの?」

『さぁな…』

そう言って、陽斗は空になったグラスを手に取り、ドリンクバーへと歩いて行った。

結局この日、具体的な計画は何も立てられないまま、帰ることになった。

帰り道、陽斗と深優は微妙な距離を保ちながらゆっくりと歩いていた。

こんな風に、静かな夜道を2人きりで歩くのは、陽斗にとっても深優にとっても初めての事だった。

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