パレット 〜White Story〜
陽斗たちのすぐ横を、自転車が通り過ぎて行った。

『危ねぇな…お前、ちゃんと前見て歩けよ!』

そう言って振り向くと、深優の顔がすぐ目の前にあった。

そして、未だに深優の手首を掴んでいることに気付いた。

陽斗は急激に恥ずかしくなり、慌てて手を離した。

『ごめん…』

小さく呟いた。

「あたしこそ…ていうか、あ…ありがと…」

恥ずかしそうに、深優も小さな声でそう言った。

そして、2人はまた黙ったままゆっくり歩き出す。

陽斗は、激しく鼓動を打つ自分の心臓を落ち着かせるのに必死だった。

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