病み姫アリスの華麗なる日常
パッツン女子の顔がうれしそうにぱあっと輝いた。
「 じゃあ、わたし
入部してもいいんですね!? 」
時夫のほうに体を向きなおした。
「 ああ。大丈夫でござる。もうなんなら今 日から参加してもかまわないでござる よー。 」
「 まあ、そうだな。
とりあえず、中に入りなよ。
いろいろ説明するから。」
なんと調子のいいやつだとあきれながらも
秋人は部室の中に入るよう勧めた。
「 ……。 」
シャイな矢島は、無言でイスを彼女のもとへ運んだ。
彼は、いつも女子を目の前にすると無言になる。
これは余談だが、無類の鉄道オタでもあった。
「 えーと、じゃあ 部員を紹介するね。
俺は 佐野秋人。2年B組。一応、部長 やってます。 」
「 ソレガシは 山田時夫、2年A組。
副部長をしているでござるよ。
得意科目は、英語、数学、物理、歴史、 なんでもござれ。サブカルチャーにも精通しインターネットスポーツもたしなんでいるでござるよ。 」
まくし立てられて困惑する女子。
「 さぶ、?かるちゃー? 」
「 アニメや漫画って言えよ。
それに、インターネットスポーツっ て、ゲームのことだから… 」
「 あっ。なるほど! 」
「 そして、こいつは矢島。女子がいると喋らなくなるんだ。」
「 え、じゃあ、わたしいないほうが… 」
そのとき、
ガサガサ キュッキュッ
『 だいじょうぶ!! 』
矢島は ものすごい速さでノートとペンを取りだし、大きく、書いた文字を 掲げた。
女子は安堵の笑みをうかべた。
「 じゃあ、今度は君の名前も教えてもらっていいかな? 」
にこっと、しながら彼女は言った。
「 はじめまして。わたしは久留米アリス。
2年E組。
先月この学校に転校してきました。
得意科目は家庭科で、苦手なのは体育か な。 かわいいものが大好きです。
みなさん、よろしくね。 」
おそらく生まれて初めてきいたであろう、
そのあまりにも女子力の高い自己紹介に
オタ部一同は、ぽかんとなりつつも、
心の中には 「萌え」のハートが浮かんだのであった。