ドールハウス
プロローグ
――――――――――…
……――――――ん!
……くん!!
あぁ…………またか。
ざわざわ―――ざわざわ―。
「洋くん!! 洋くん!!」
「揺さぶっちゃいけない!救急車がくるまでなるべく止血するんだ!!」
持っているタオルで傷口をふさぐ。
手を血で真っ赤に染めながら、彼の名前を必死で呼んだ――――。
近くでは、車が爆発しゴウゴウと音をたてながら、燃えている。
「洋くん!! 洋くん!!」
起きてよ!…目を開けてよ!!
――闇の中の真っ暗な空に私は、彼の名前を叫んだ――――――……。