3年後の約束。


気分が良くなったのか、向井が急に立ち上がった。

向井「よし!次乗りに行くか!」

私「もう大丈夫なの?無理しないほうが…。」

向井「大丈夫大丈夫!ほら!行くぞ!」

私「う、うん!」

私は急に元気になった向井が心配だったが、楽しそうにしていたので、ほっとして次の乗り物に行くことにした。


向井「あれ乗ろ!」

そう言って向井が指をさしたのは、カッパを着て乗るほど水がかかるアトラクションだった。

それは一回落ちるだけのものだが、かかる水の量は半端じゃない。

季節もまだ3月上旬で寒い。
誰も乗っている人はいなかった。


私「え…。絶対寒いよ、あれ。誰も乗ってないじゃん…!」

向井「誰もいないのがいいだろ!」

いやいや、人の数より寒さだろ。
バカかこいつは。
そうだ、バカだった。

バカは寒さを感じないのかもしれない。


結局ほぼ強制で連れて行かれた私。

もちろん誰もいないので、濡れないようにカッパポンチョを買い、すぐに乗った。

係の人も、こんな寒い中よく乗るなというのが、もう顔からわかる。


そんなことも気にしないのか、気付いてないのか、向井はウキウキしながら落ちるのを待っている。

たった二人を乗せて、いま乗り物は頂上を目指している。

私「これは怖くないの?」

向井「これはあんま落ちないしスピードないから平気。なに、お前怖いの?」

私「はあ?怖くないわ。怖いんじゃなくて、寒いのおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ」

私が言い終わる前に、乗り物は頂上を迎え、急降下していった。


バシャーーーン。


大量の水がかかった。
まさにびしょびしょ。ほんとにびしょびしょ。

それを向井は今日で一番嬉しそうな顔をしている。

バカだな。


それにしても寒い…。


< 14 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop