3年後の約束。
気分が良くなったのか、向井が急に立ち上がった。
向井「よし!次乗りに行くか!」
私「もう大丈夫なの?無理しないほうが…。」
向井「大丈夫大丈夫!ほら!行くぞ!」
私「う、うん!」
私は急に元気になった向井が心配だったが、楽しそうにしていたので、ほっとして次の乗り物に行くことにした。
向井「あれ乗ろ!」
そう言って向井が指をさしたのは、カッパを着て乗るほど水がかかるアトラクションだった。
それは一回落ちるだけのものだが、かかる水の量は半端じゃない。
季節もまだ3月上旬で寒い。
誰も乗っている人はいなかった。
私「え…。絶対寒いよ、あれ。誰も乗ってないじゃん…!」
向井「誰もいないのがいいだろ!」
いやいや、人の数より寒さだろ。
バカかこいつは。
そうだ、バカだった。
バカは寒さを感じないのかもしれない。
結局ほぼ強制で連れて行かれた私。
もちろん誰もいないので、濡れないようにカッパポンチョを買い、すぐに乗った。
係の人も、こんな寒い中よく乗るなというのが、もう顔からわかる。
そんなことも気にしないのか、気付いてないのか、向井はウキウキしながら落ちるのを待っている。
たった二人を乗せて、いま乗り物は頂上を目指している。
私「これは怖くないの?」
向井「これはあんま落ちないしスピードないから平気。なに、お前怖いの?」
私「はあ?怖くないわ。怖いんじゃなくて、寒いのおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ」
私が言い終わる前に、乗り物は頂上を迎え、急降下していった。
バシャーーーン。
大量の水がかかった。
まさにびしょびしょ。ほんとにびしょびしょ。
それを向井は今日で一番嬉しそうな顔をしている。
バカだな。
それにしても寒い…。