恋がしたい。ただ恋がしたい。
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ぐでんぐでんに酔っ払った私は、私達を迎えに来てくれた紫の弟の裕介(ゆうすけ)くんに管を巻いていた。
ちなみに付き合っていたはずの男にプロポーズを見せつけられて振られたコトの顛末は、紫が最初から最後まで包み隠さず説明をしてくれた。
「ねぇ…ゆーすけくん…わたしの何がいけなかったのかなぁ…。」
「そうだねぇ…」
首を傾げながらちょっとだけ考えて、祐介くんはのんびりとした口調で話始めた。
「その男は香織ちゃんに甘えきってたんじゃないかな?そんな感じしなかった?」
うーん…
亨に言い寄られて付き合い始めた頃は、彼のほうが熱心だったし…マメだったような気がする。
それにほだされたのがいけなかったのか…好きになったらのめり込んでしまうこの性格がいけないのか…
気がついたら、彼の身の回りのことを自ら進んでやってしまっていた。
一時は実家暮らしの亨が私の家に転がりこんで来て、半同棲みたいな付き合いをしていた。
だから、亨の服も私の部屋にはずいぶんと残っている。
それだってよく思い返してみたら、彼が運んで来たというより…
ずっと亨が居ても困らないようにと、私が買って揃えておいたものばかりのような…
…あれれ?
「何をしても香織ちゃんなら許してくれる。ちょっと他の女(コ)と遊ぶぐらいなら。…たとえ浮気に繋がったとしても。香織ちゃんは優しくて心が広いからね。たぶん最初のきっかけなんてそんなもんだったと思うよ。」