恋がしたい。ただ恋がしたい。

じゃあいつの間に…浮気が本気に変わってしまったんだろう?


「それにしても、プロポーズを見るまで気がつかないなんて、香織は鈍感過ぎる!」


沈む気持ちに紫が容赦無く切り込んでくる。


「まあまあ。考え無しでちょっと抜けてるけど、優しくて可愛い所が香織ちゃんのいい所なんだから。ねっ。」


私の肩をポンポンと叩きながら慰めてくれる裕介くん。ちょいちょい引っ掛かる言い回しもあるけど、紫にバッサリと斬られた後は、裕介くんの優しさが心に染みる。


「油断し過ぎって言うか…一ヶ月ほど連絡が取りづらくなった後のいきなりのプロポーズねぇ。」


「…何かあったんじゃないの?相手のほうに。できちゃったとか。あー、詳しく聞く前に逃げちゃったんだよね?どうせだったら居座ってやればよかったのに。同窓会。あんたが逃げなかったらヤツは相当びびったと思うよ。いつ爆発するか分かんない爆弾がずっと側にいるんだもん。」


…自ら自爆しろと?その方がなんぼかマシだったってこと?


紫ったら、とうとう私を危険物扱いにしたか…。


確かに冷静になって考えると、亨の思惑通りに逃げ帰ってしまったヘタレな自分が悔しくてたまらない。


「ほんと香織は見かけ倒しなんだから!」


しっかりしているように見えるのは外見だけ。私のメンタルは昔からおぼろ豆腐並みにぐっずぐずだ。


紫のような強さが欲しいと本気で思う。
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