小さな恋のメロディ
「アヤちゃん聞いてる?」

「あっ、ごめんなさい」

「最近元気無いね?これ、プレゼント!」

「ありがとう」


牧野さんから貰うプレゼントは、もう何個目だろう…。


今日は何だか体調が悪い。
早く帰りたい。


「そろそろ、アヤちゃんちに行っていいかな?」

「えっ?」

「僕達もう付き合って2ケ月になるだろ?」


牧野さんがお店に来てからは、2ケ月になるけど…。
付き合うなんて話しをした事なんて無かった。


「アヤさん、少々お借りします」


ちょうどいいタイミングで、ボーイが私を席から抜いてくれる。


「どうしたの?何かあった?」

「牧野さん、付き合ってるって勘違いしてるみたいで…」

「あぁ、よくある事だから適当に流しとけばいいよ」


”よくある事”

その言葉で少し安心した。


「あっ、岩崎さん指名入ってるから。頑張って」

「はい」


私は転々と指名席を回る。
その間どんな目で牧野さんが見ていたのか、何を考えていたのか、知らなかった。


「牧野さん、ごめんね」

「いいよ。でもね、僕はもうここには来られないんだ。だから一緒に住まない?」


体調が悪いの。
疲れる事を言わないで…。


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