小さな恋のメロディ
「アヤちゃんは、あの親父と浮気してるのか?」


もうやめて…。


「何か言えよ!!」


怒鳴り声が、店内を駆け抜けた…。
ボーイが心配して席に来る。


「ごめんなさい、大丈夫です」


ボーイが離れ、店内が又賑やかになると、私は言った。


「私…牧野さんの事好きじゃない。別れましょ?」


牧野さんが私を恋人だと思っているのなら、私はこう言うしかなかった。


「…分かったよ。明日、君に最後のプレゼントをあげるよ。そしたらもう二度と会わない」

「…分かった」


牧野さんはそう言って帰って行った。



バイトから帰り、布団に横になっている私を見て、哲平は吐くように言う。


「ただいま…。又かよ…」

「ごめんね。体調が悪くて…」

「起きてたのか?」

「…うん」

「一回病院で見て貰えよ?俺、明日休み取るから行こう?」

「うん…」


哲平はご飯とお風呂を済ませると、いつものように眠った。

私は吐き気とダルさに襲われる。

でも、自分で気づいていた。


この体調の悪さは病気じゃない…。

毎月の物も、来てないから。


バイト、行きたくないな…。


体調だけじゃなくて、牧野さんに会いたくない…。

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